脳ドック受診は、慎重に

脳ドックについては、これを取り扱う医療機関も増え、突然襲う脳動脈瘤破裂のおそろしさを強調し、早期発見をしましょう、費用も10万円以下でできますという広告を目にする機会が多くなってきました。

 

確かに脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は、約半数が、死亡ないしは昏睡状態となり、もとの状態で社会復帰が可能なのは、25%程度にすぎないといわれ、早期発見出来た方がいいと考えるのが当然のように思われるかも知れません。

 

但し、これが発見された場合には、(1)経過観察をするのか、(2)開頭をしてクリッピングをするのか、(3)カテーテルを通じて、白金製のコイルで、脳動脈瘤の内から詰めてしまうのかという選択をしなければいけません。

 

開頭術は、確実性が高いですが、合併症として脳内出血、脳梗塞、手術中の脳の損傷等があり、重い合併症は5~10%程度、死亡する可能性は1%程度で、結構、高い割合です。

 

コイルによる塞栓術は患者への負担は少ないのですが、この方法ができない場合や、完全に閉塞が出来ない場合もあります(動脈瘤の完全閉塞率は80~95%)。開頭術と同様の合併症があり、重い合併症の発生率は、開頭手術と大きく変わらないと言われています。

 

どのような方法をとるかについては、日本脳ドック学会がガイドラインを示していますがhttp://jbds.jp/doc/guideline2014.pdf)、最終的に決断するのは、ご自身です。脳ドックの広告には、発見された場合には重い決断を迫られることについて、触れているものは見かけません。

 

小型未破裂の脳動脈瘤の年間破裂率については、0.05%程度というものや、1%弱程度はあるとする報告もあり、20倍近い開きがあります。症状の有無、大きさ、形、部位等により、その危険性の大小はある程度判断できるようですが、一生未破裂であるかもしれないし、明日破裂するかも知れないという不安の中で決断を迫られます。

 

脳動脈瘤は人口の2~6%に見つかり、結構な率で脳ドックを受ければ見つかってしまいます。症状もないのに、安易に脳ドックを受けて発見された場合には、突然の重い心理的負担を負わされることとなったり、時には重大な決断をしなければならなくなったりして、脳ドックを受けたことを後悔するかもしれません。

 

脳ドックを受診される場合は、重大な決断が後に控えているかもしれない?!ということを念頭におくべきではないでしょうか。こうした考え方も参考になれば幸いです。(池田伸之)