2026年12月25日に子ども性暴力防止法が施行されます。
学校,保育園,幼稚園などは義務的に対象となり,塾,スポーツクラブ,認可外保育所など子どもに関わる事業者についても国の認定は任意になりますが,国から認定を受ける事業者は対応をしていく必要があり,その影響は広範囲にわたる法律です。
義務的に対象となる義務対象事業者は,こども性暴力防止法が求める全ての措置(安全確保措置,犯罪事実確認,防止措置,情報管理措置)に対応することが義務になります。
他方,任意での対象事業者は,子ども性暴力防止法が求める措置に対応するか否かが任意(選択制)ですが,こども家庭庁に対して,子ども性暴力防止法が求める措置を講じていると申請し,こども家庭庁から認定を受けた場合には,認定マーク(こまもろうマーク)が表示できるようになります。子どもを預かる任意での対象事業者でも,こまもろうマークが表示できれば,保護者の安心につながるものと考えられます。
この法律の対象になる事業者は,実に7万事業者とも言われています。
この法律では,従業員の性犯罪等の情報を取得し(日本版DBSと言われています),子ども性暴力が発生した場合の適切な対応も事業者に求めています。
子ども性暴力防止法は,大規模な体制構築を求める内容になっていますので,こども家庭庁のガイドラインは300ページを超える分量になっています。
まずは,子ども性暴力防止法が求めるものを理解し,それに子どもに関わる事業者として確実に対応していく必要があります。
子ども性暴力が発生した場合に,感情的にならず,冷静に事実を把握し,子どもの人権を守るために,弁護士等の専門家との連携をも求められています。また,子ども性暴力が発生した場合,それを保護者にどのように伝えるのかは非常に難しい判断を迫られます。
子どもに関わる事業者でも,現在,顧問弁護士がいない事業者も少なくありませんが,子ども性暴力が発生した後に弁護士に対応を委ねることも,事態に対応しつつ,弁護士を探すというのは,おそらく非現実的です。
子どもから聴き取りを行う際には,子どもが物事を話すときの特性をきちんと踏まえないと,誘導や暗示になってしまい,簡単に子どもの記憶を汚染してしまい,虚偽の事実を真実と思い込んでしまうおそれがあり,客観的な真実が把握できなくなってしまいます。客観的な真実が把握できなくなってしまっては,子どもの人権を擁護することもできなくなってしまいます。
また,子どもはおおよそ11歳以上にならなければ物事を客観的に,俯瞰的に把握できないと考えられており,子どもの年齢に応じて,どういった質問をしていくかも慎重に検討していく必要があります。
この子どもの特性を把握したうえでの聴き取りは,子ども性暴力が発生した際に,事業者の従業員だけで対応できるのであればもちろん問題ありませんが,現実には突発的な事態に対して,問題の無い対応をすることは難しいはずです。
そもそも,事業者として,「誰が」,「どうした」といった最低限だけの聴取をすれば必要十分ですし,聴取をせず最初から警察につなぐことも検討する必要があります。どこまでの聴取をすれば良いのか,そもそも事業者において聴取するのか否かの判断もその時々で行っていく必要があります。このとき,2023年に新設された司法面接的手法を用いた録画記録を伝聞例外とすることを定めた刑事訴訟法321条の3の要件の充足も検討していく必要がありますが,この点は子どもに関する事業者では判断ができないのではないかと思われます。
そこで,事前に,弁護士に相談・依頼できる体制を整えておく必要があります。池田総合法律事務所では,長年にわたり,保育園(こども園),学習塾の顧問弁護士をしており,これまでも保護者対応,従業員の労務問題などに対応してきましたし,問題が発生したのではないかと疑われる事案において関係者の聴き取りを行い,事実を認定して監督官庁に報告するお手伝いをしたこともあります。
池田総合法律事務所では,子どもに関わる事業者の方々に,子ども性暴力防止法の研修を実施するなどの体制構築の支援,万一,子ども性暴力が発生してしまった場合の対応業務も取り扱っています。池田総合法律事務所に一度ご相談ください。
〈小澤尚記(こざわなおき)〉