法律コラム

来春スタートの育成就労法で変わる外国人労働者への企業の対応のあり方


2018年の入管法の改正を転換点として、日本での外国人労働者の受入政策は転換され、専門的・技術的人材を受け入れ、さらに、特定技能制度の創設により一定の人手不足分野で「一定の技能」を有する外国人人材を受け入れてきました。そして近時、2024年には技能実習制度を廃止し、育成就労制度へ移行する法改正が定められ、2027年4月から、育成就労制度がスタートします。

政策主体の役割にも変化があり、従来、外国人労働者政策は法務省入国管理局と厚生労働省が、それぞれ在留管理と雇用管理を担って来ましたが、2019年に設立された出入国在留管理庁が在留支援を行うことになり、厚生労働省においても外国雇用管理指針の見直しを通じ、事業主の雇用管理責任を明確化し、日本語教育や生活支援を企業に求めるようになりました。外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議決定(2026年1月)の下、粛々と日本も変わり始めています。

外国人労働者、外国人材の受入を巡る社会環境も、近時変化し、人手不足への対応として期待が高まる一方、地域社会で生活ルールやコミュニケーションにおいて、日本人居住者との軋轢も生じています。外国人との共生社会の構築がスローガンにとどまらず、国、自治体、企業などとの役割分担と連携の在り方を見直し、地域住民等と連携して、具体的な改善を実行する段階へと進んできていると言えます。

これまで外国人労働者に関する企業の役割は、その責務としての労働条件の明示、安全衛生の管理、社会保険への加入など、雇用管理を中心とするものでした。生活基盤を地域に築く外国人労働者が増加するにつれて、特定技能実習制度の下においても、共生を踏まえた自治体の支援計画の策定が求められるようになっており、既に変化が起き始めています。

具体的には、日本語学習への支援、生活支援、地域住民との交流といった社会統合に関する要素を取り入れていくということを意味します。

企業の実務がどう変わるかですが、外国人雇用管理指針は直ちに法的な拘束力を持つものではないものの、解釈に当たって、参考になるものですし、労働施策の改善の解釈指針です。同一労働同一賃金ガイドラインの適用(第四の二)、労働条件の明示、外国人労働者及び家族に対する日本語学習支援(第四の五)、帰国旅費の負担等(同)などに目を通して適切な対応を検討することは大切なことであると考えます。これらは、経営戦略としても考えるべき課題でもあります。

<池田桂子>