ハザードマップと重要事項説明

東日本大震災の発生、東南海大地震の近未来の発生予測、地球温暖化による気候の凶暴化(集中豪雨、台風の大型化)等から、人々の災害への関心も高まり、行政もハザードマップ等を公表しています。

 

知らない土地で、土地や建物を買ったり、あるいは不動産を賃借する時には、その土地が災害に強いのかどうかは、重要なチェック項目となりますので、必ず調査をしましょう。

地震に対する耐性、液状化の可能性、堤防決壊時の浸水の可能性等に関する情報は、パンフレット等の形で公開されていることが多いです。

 

宅建業法は、宅建業者が売買、賃貸にあたって、重要な事項について、取引主任者をして、書面で交付して説明しなければならないことになっており、説明すべき事項は、国交省による施行規則でその細則が定められています(宅地建物取引業施行規則第16条の4の3)。

 

そのうち、災害に関連した項目としては、造成宅地防災区域内、土砂災害警戒区域内、津波災害警戒区域内にあることや、建物が耐震診断を受けた時はその内容を説明しなければならないとされていますが、ハザードマップがある場合に、これを一般的に説明をしなければいけないこということにはなっていません。

 

では、ハザードマップの存在を知らず、また、仲介業者や売主から説明もなく、後日、ハザードマップで、たとえば、「液状化の可能性が極めて高い」とか「堤防決壊による浸水深が3m想定される」といった、深刻な被害が予想される地域であることがわかった場合、売主に対して、契約の解除や損害賠償の請求、仲介業者に損害賠償の請求ができるでしょうか。

今のところ、ハザードマップの正確性やその精度は千差万別であるのが実情です。また、想定される災害の発生頻度も種々のものがあり、一般的には、ハザードマップの説明がなかったというだけでは、契約の解除や損害賠償は難しいのではないかと思われます。

 

しかし、ハザードマップのパンフが有益な情報の1つであることに違いありませんから、パンフを入手したり、更に詳細な情報が必要な時には、仲介業者や行政に問い合わせたり、情報公開を求める等してみてはいかがでしょうか。いずれにせよ、災害には日頃より自己防衛が大切と思います。        (池田伸之)