フレッシュマン採用で、「試用期間」の位置づけにご注意を

4月は新しい職場のメンバーを迎える季節です。新卒者についても中途採用の若手社員についても、時に「就業規則の定める試用期間の定めに従って採用したが解雇したい」という相談がなされることがあります。採用された側からすると、「正社員で入社はずなのに解雇された」という言い分になります。

 

労働政策研究・研修機構の調査では、試用期間を定めている企業は73.2%にのぼります。また、本採用の拒否事案はその調査の過去5年間内では、13.1%あるそうです。

 

試用期間については、有名な最高裁判決(昭和48.12.12の三菱樹脂事件判決)があります。その判断では、試用期間中に使用者に留保された解約権の行使、つまり解雇は、通常の解雇の場合より、広い範囲における解雇の自由が認められる、とは述べているのですが、「採否決定の当初においては適格性の有無に関連する事項(資質・性格・能力等)について必要な調査を行い、適切な判定資料を十分に収集することができないために、後日における調査や観察に基づく最終的な決定を留保する」ものだと述べていることが重要な点です。つまり、あくまで、試用期間中の調査結果や勤務状態により新たに認識した事実を根拠とすると客観的に合理的な理由があって、社会通念上も相当と考えられることが必要なのです。

 

通例、試用期間は2ヶ月から半年くらい。試用期間といえども労働契約は有効です。企業側は、試用期間を商品サンプルのお試し期間のように安易に考えないでほしいものです。また、新入社員側は、正社員になるために学びながら適性をアピールする期間ととらえて、臨んでいただきたいものです。<池田桂子>