ブログはじめました-臓器移植法改正法の話
ブログ始めました。
新しい法令や裁判例の紹介、自分自身が取り扱い、参考になるようなケースなどのご紹介などをしていきたいと思います。
さて、今回は、今年7月から施行された臓器移植法の改正法の話です。
これまでは、本人の書面による積極的な同意がなければ、家族の意思だけでは、臓器提供が出来ませんでした。また、15歳未満の子どもからの臓器提供も、子どもの脳には復元力があって脳死状態にあるといっても未解明な部分があることから、許されていませんでした。そのため、外国へ出かけて移植を受けるといった事例が増え、今回の改正となりました。
改正法では、本人が積極的に臓器提供を拒否している時はだめですが、本人の意思がはっきりしないときは、家族の承諾で臓器提供が可能となり、また年齢制限がなくなりました。ただ、児童虐待の結果、脳死に至ったような例では、家族の意思で臓器提供をさせるのは妥当でないため、18歳未満の場合は、児童虐待の調査が義務づけられています。
また、15歳以上の場合は、親族への優先的な臓器提供が認められています。今までは本人の意思がはっきりしている時にしか、臓器提供は認めらませんでしたが、今後は、はっきりしないときは家族が決めることになり、家族としては、本人に聞いたらどういう返事をするだろうかということを考えながら、判断することになります。
ただ、脳死状態の人は、人工呼吸器で生かされているとはいえ、外見上は、呼吸もし、肌も血流によりピンクで死んでいるようには見えません。頭では理解できても、心情的にお別れが出来ていない段階で、臓器提供を求められ、家族が重い決断を迫られる場面が今後は増えてくると思います。これを機会に、万が一の場合にどうするのか、例えば、もし交通事故に遭って脳死状態になり、臓器の提供を求められたらこれに応じるのかなど、家族でじっくり話し合ってみるのもいいのかもしれません。家族の絆が深まるきっかけにもなると思います。(池田伸之)