会社法改正の中間試案
令和8年(2026年)3月18日、会社法改正の中間試案がまとまりました。パブリックコメントによる意見募集は既に終了しており、パブリックコメントでの意見を参考にして要綱案がまとめられ、令和9年(2027年)以後、改正法案が国会に提出されるという流れです。
中間試案で示された改正点は、株式の発行のあり方、株主総会のあり方、企業統治のあり方に関わる改正といった多岐にわたり、その細目は次のとおりです。
<株式の発行のあり方の見直し>
使用人等に対する株式の無償交付、株式交付制度の適用対象・手続、現物出資制度などが盛り込まれています。
<株主総会のあり方の見直し>
バーチャルオンリー株主総会及びバーチャルオンリー社債権者集会、実質株主確認制度、株主総会のデジタル化、「会議体」としての株主総会の在り方、株主提案権などが盛り込まれています。
<企業統治のあり方の見直し>
指名委員会等設置会社制度、責任限定契約制度、事業報告等及び有価証券報告書の開示の合理化などが盛り込まれています。
以上の様な多岐に渡る改正ですが、いずれも企業の実務に直結する課題です。令和元年(2019年)の大改正の流れをくみ、株主総会を合理化し、過剰な規制を見直して、デジタル化やコーポレートガバナンスの実効性向上をはかるとともに、「人材」を資本・投資の対象として捉える「人的資本経営」に対応するという背景があります。
会社法は平成18年(2006年)に施行された後、平成26年(2014年)と令和元年(2019年)の2回大きな改正がなされています。前回、令和元年の大きな改正では、社会のデジタル化を反映した株主総会資料の電子提供制度や、コーポレートガバナンスの実効化を図るための社外取締役の設置義務化といった改正がなされました。先に挙げた株主総会のあり方や企業統治のあり方の見直しに関する今回の改正も、より一層のデジタル化やガバナンスの実効性向上といった社会の変化への対応を目的としたものです。また、株式発行のあり方の見直しは、インセンティブ報酬を柔軟化する内容を含み「人的資本経営」に対応するための改正です。
多様な論点も、大きな視点を押さえると、それぞれの制度や改正点が理解しやすくなるかも知れません。なお、A案、B案などの複数の案が示された論点も多く、どちらの案がとられるかによって、実際の会社運営の影響は異なったものになるので、注意深く改正内容をフォローしていく必要があります。
(弁護士 山下 陽平)