刑事弁護④~身体拘束が長期化する場合~

1 被疑者段階(捜査段階)

刑事事件①のコラムでは,被疑者段階では,1事件につき23日間程度,自由を奪われると書きました。

しかし,カルロス・ゴーン氏の事件のように,被疑者段階が数か月続くこともあります。

カルロス・ゴーン氏の事件では,有価証券報告書の虚偽記載という金融商品取引法違反で最初に逮捕・勾留されました。

このときは,同じ有価証券報告書でも2011年から2015年の虚偽記載で最初に逮捕・勾留され,その後直近3年分の有価証券報告書の虚偽記載で逮捕・勾留され,最後に特別背任という会社法違反の被疑事実で逮捕・勾留が繰り返されました。

日産自動車株式会社は,上場企業として毎年有価証券報告書を作成・提出しなければならないのですが,その一部を切り取って一つの事件とし,他の部分を切り取って一つの事件とすることは,警察・検察といった捜査機関のある程度自由が効くところです。事件を組み合わせていけば,逮捕・勾留だけで数か月にわたる身体拘束も可能です。

また,例えば,遺体が河川敷で発見され,遺体を捨てた被疑者が逮捕・勾留される場合,まずは死体遺棄罪で逮捕・勾留されます。そして,被疑者が殺人をしたということであれば,殺人罪で再逮捕・再勾留され,23日間程度を2回,合計46日間程度は身体拘束が継続することになります。

このように,逮捕・勾留だけでも1か月半以上の身体拘束が継続することもあります。

この数か月に及ぶ身体拘束中,継続的に取調べを受けることは,精神的・肉体的に相当追い込まれることになります。数か月間,お前がやったんだろうと取調官に追及され続けても平気という人はまずいません。

そういった中で,的確にアドバイスができ,味方であることができるのは弁護人しかいません。

弁護人を選ぶことは大変重要です。

 

2 被告人段階(刑事裁判段階)

通常の刑事裁判は,起訴後1か月すると第1回公判(裁判)の期日が入り,自白事件であれば,第1回公判の約2~3週間後に判決が出て,手続が終了することが多いです。

しかし,否認事件であれば,公判は1か月に1回程度しか入りませんので,証人の人数などによっては手続が終了するまでに数か月が必要になることもあります。

また,裁判員裁判対象事件(殺人事件など)は,起訴されて裁判が始まるまでに1年程度かかることは比較的多いです。

裁判員裁判では,長いものであれば3,4年程度,判決までかかる事案もあります。

このように刑事裁判(正式裁判)となった場合には,保釈が認められない限り,数か月の身体拘束が継続することになります。

 

3 最後に

刑事事件では,弁護人からアドバイスを受けつつ,捜査機関に対していくことは必要不可欠です。

刑事事件でお困りの方は,池田総合法律事務所までご相談ください。

 

〈小澤尚記〉