労働関係法規の改訂・整備は早めに手当てを
労働関係法規の改正がなされても、事業規模に応じて、その適用に猶予がなされていることがあります。日常業務に取り紛れて、後回しになってしまうこともある労務関係の改正ですが、適用期限をマークしておいて、フットワークの良い対応を心掛けたいものです。
平成22年6月から施行されている、①時間外労働の割増賃金率の引き上げ、と②子育て中の短時間勤務制度など育児・介護休業法の改正は要注意です。
①労働者が時間外労働をした場合、通常の労働時間に支払われる賃金の25%以上の割増賃金を支払はなければならないことはご存知と思います。長時間労働の抑制のため、改正により、1ケ月に60時間を超える時間外労働を行う場合には、割増賃金率が25%から50%に引き上げられています。適用の中小企業に該当するかは、人数と資本金で細かく規定されていますので、厚労省のHPで確認をしてください。
②3歳までの子どもを養育している労働者について、短時間勤務制度、残業免除制度などの中から1つを選択して制度化すれば足りるとしていました。改正後は、1日原則6時間の短時間勤務制度を設けることが事業主の義務となっています。
残業も労働者が請求した場合には、免除しなければなりません。
また、小学校就学前の子どもが病気やけがで親が休みを取る必要が出てきた場合、看護休暇は労働者一人当たり年5日取ることができましたが、改正後は、労働者単位で考えるのではなく、就学前の子ども一人単位で考えることになりました。子ども一人いれば5日、年10日を上限となっています。介護休暇についても同様に被介護者単位という考え方です。
対象家族1人につき、年93日を上限として、となっています。
常時100人以下の労働者を雇用する企業についても、この規定は24年6月30日までに適用が猶予されているというものの、残り1年をきりました。さて、まだ未整備という会社の関係者は、重い腰を上げてくださいね(池田桂子)