区分所有法の改正2025~マンション等の区分所有建物の再生と管理を円滑に~
多数の所有者が維持管理する集合住宅は専用部分と共用部分からなり、建物全体の管理や修繕、建替えなど重要なことについて、所有者皆の意見を反映するようにする必要があります。こうしたことを規律するのが区分所有法という法律です。制定されたのは1962年で社会の変化に応じて、改正が度々行われてきました。
今回は、2025年5月に改正された内容について整理してみます。施行の予定は来年4月です。
集合住宅の老朽化が進行し、5棟に1棟は築40年を超えている状態だと言われます。また、居住者の高齢化も進みます。さらにこの頃は、所有者の中にも居住していない空き家が増えています。
マンションなどの共同住宅では、維持、管理、建替えに、決議要件が定められています。多数要件を充たすのが難しくなり、徐々に緩和することが必要となってきました。改正の要点は以下の通りです。
<決議要件の緩和>
〇建替え 区分所有者及び議決権の賛成の要件
これまで、5分の4以上 ⇒ 4分の3以上
〇共用部分の構造にかかわる大規模な修繕
所有者の4分の3以上 ⇒ 集会出席者もしくは所有者の3分の2以上
〇共用部分の変更(やバリアフリー基準への適合のための変更)
4分の3以上 ⇒ 3分の2以上
〇共用部分の修繕
所有者の過半数 ⇒ 集会出席者の過半数
<管理の円滑化>
〇所在不明の所有者がいる場合
裁判所が管理人を指名することができます
〇海外在住の所有者への対応
所有者に海外居住者がいることも当たり前の時代です。これへの対処として、国内の管理人を指名することができます(任意)。
重要な財産の価値が下がらないうちに、また、集合住宅の居住者同士気持ちよく隣人生活を送ることができるように、財産の品質を維持し、先のことを考えながら備えたいものです。
当然のことながら、法律が変わることにともない、管理計画や規約の見直しが必要です。
これまで、管理組合の議決により、管理を委託することは行われてきました。技術的なことも含め専門家の知識は欠かせません。外部の専門的な知識を持つ管理者に委託して行われることも、今後法制化が検討されていくようです。
さらには、今日的課題として、電子化された総会や議決の確認の連絡方法の見直し災害時の避難や対応ルールなど、検討すべき課題はたくさんあります。検討すべきことはお早めに!
(池田桂子)