廃棄物処理② ~契約書について~
一般には契約書を作成することなく,注文書や請書だけで取引をされている業界も多いと思います。しかし,産業廃棄物処理の業界では違います。産業廃棄物の処理を委託するには,排出事業者は,収集運搬業者,処分業者と委託契約を結ぶ必要があります。
産業廃棄物処理の業界では,書面で契約書を作成することは必須です。もし契約書を作成しなければ,排出事業者には刑事罰が待っています。
しかし,この場合,契約書はただ作成すれば良いというものではありません。法律には契約書に記載すべき事項(法定記載事項)が挙げられており,この法定記載事項を漏れなく記載する必要があります。
例えば,法定記載事項の1つとして委託料金があります。しかし,委託料金を「協議による」などと契約書に記載するだけでは足りません。契約書やその附属書類に具体的な金額や計算方法が明示されていなければ,廃棄物処理法違反になります。
これは,いままでの廃棄物の不法投棄に対する規制の中で,不十分な委託料金しか排出事業者から支払われず,結果として不法投棄されるにいたってしまったことに理由があります。
もっとも,排出事業者,収集運搬事業者,処分業者との間の力関係などもあり,取引の実情は単純なものではありません。業界の取引実情を踏まえて,委託料金をどういう形で記載すれば廃棄物処理法に違反しないようにするかを工夫することになります。
契約内容のチェックや契約条項の工夫には,弁護士の関与が不可欠になります。産業廃棄物の処理にお困りの方,法的に問題が無いか不安な方,廃棄物処理法について知りたい方は,池田総合法律事務所までご相談ください。
〈小澤尚記〉