廃棄物処理①

廃棄物(ゴミ)には,事業活動に伴って生じる産業廃棄物と一般廃棄物があります。

そして,廃棄物全般の関する規制をしているのが,廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)です。

廃棄物処理法では,一般廃棄物は市町村に処理責任がありますが,産業廃棄物の場合は,排出事業者が自らの責任で適正に処理する責任を負っています。

排出事業者は,産業廃棄物が出た時点から,マニュフェストE票が戻ってくるまでの一連の流れを把握して,産業廃棄物が最終的に適正処理されることを見届けなければなりません。

しかし,出発点の委託契約書の締結の際,収集運搬業や処分業の会社の方から示される委託契約書をただ使っていることが多いと思います。

また,公益社団法人全国産業廃棄物連合会作成の契約書ひな形をそのまま使用していることも多いと思います。

しかし,契約締結のとき,契約書の内容を廃棄物処理法の十分な理解に基づいて,チェックしていますでしょうか?

ひな形は廃棄物処理法上必要最低限の条項は入っていますが,基本的に契約条項の工夫はありません。ひな形のままで,契約書に本当に必要な条項は十分に記載されていますでしょうか?

処理委託契約の内容については,廃棄物処理法が規制をしていますので,契約書の内容をきちんと確認しなければ法令遵守(コンプライアンス)ができていないことになります。

もし廃棄物処理法に違反すれば,損害賠償責任などの民事責任で莫大な支出を強いられたり,業務停止命令・営業許可取消などの行政処分で営業ができなくなったり,最悪の場合には刑事事件にまで発展する可能性もあります。

また,廃棄物を適法に処理できなかった会社として評判を落とす可能性もありますので,産業廃棄物の処理には十分な注意が必要になります。

委託契約書の作成やチェックには,弁護士の関与が必須です。

 

産業廃棄物の収集運搬や処分をされている会社も,法令は頻繁に改正されますので,その内容に沿って業務を変えていく必要があります。いまの業務のやり方を長年続けてきたからということでは,法令違反になるかもしれませんし,法令違反になれば,依頼主にも多大な迷惑をかけることになります。何よりも許可が取り消されるなどして,事業が続けられない可能性もあります。

収集運搬や処分の事業者の方も,産業廃棄物の処理について,法令を遵守するために弁護士と継続的に相談することが必要です。

 

産業廃棄物の処理にお困りの方,法的に問題が無いか不安な方,廃棄物処理法について知りたい方は,池田総合法律事務所までご相談ください。

〈小澤尚記(こざわなおき)〉