民間事業者はマイナンバー制度への準備をお早めに!

マイナンバー制度の導入が2016年1月スタートと定められ、間近になってきました。6月に入り、日本年金機構からの個人情報漏洩問題が報じられましたが、事件の真相解明と再発防止策の検討は必要であるものの、開始が延期される見通しは立っていません。

 

今年10月頃に個人宛に「通知カード」が届き、希望者には、自治体窓口で申請されれば、マイナンバーが記された顔写真付個人番号カードが発行されますので、身分証明書としても機能することになります。マイナンバーの対象範囲は、まずは税、社会保障、災害対策ですが、その後は、他の分野にも広げられる可能性があります。社会保障分野とは、年金、労働(雇用保険を利用する資格取得・確認、給付の場面)、福祉・医療などに分かれます。

 

この仕組みの前提として、民間企業は準備が必要です。企業は、従業員のマイナンバーを届け出てもらわなければなりません。①マイナンバーの申出書類②マイナンバー通知カード③免許証など本人確認できる書類、の3点セットを出してもらいます。

マイナンバーは住民票に基づいて付番されます。また法人には、法人登記を行っている法人には法人番号が付されます。

 

企業は、マイナンバー利用する事務実施者と位置付けられ、給与の源泉徴収票や報酬・契約金、あるいは配当金の支払い報告を作成する際にマイナンバーを提示してもらう必要があります。事務を行うにあたり、個人情報を扱いますから、番号申告を受けての本人確認、番号関連情報の安全管理に注意を払わなければなりません。

 

もっとも、マイナンバーの導入によって、全く新しい業務が生ずるというよりは、改めてマイナンバー利用に関する既存の業務の見直しを要するということです。中には、本人確認を求めることから、今まで、会社の事務の根拠が曖昧であったような場合には、手続事務に関する根拠規程や規制を作成する準備もあると思われます。

 

さらに言えば、マイナンバーを本来の用途以外に利用することは法律上禁じられています。関係のない業務のためにマイナンバーを参照していないか、故意にマイナンバーを漏洩するために不正アクセスしていることはないかなどマイナンバー記録にアクセスしたり利用した履歴を残し、システムとして対応できるように準備を進めて下さい。

 

マイナンバーは、様々な社用での手続に影響を及ぼすものと考えられますので、準備に取りかかるのは早い方がよいと思います。

対応の必要の有無がわからない場合や手続の要否について疑問があれば、対象分野の関連機関に問い合わせたり、コンプライアンスに詳しい弁護士等に相談されることをお勧めします。〈池田桂子〉