法人破産について (連載・全4回中第4回)

法人の民事再生手続について

1 はじめに

3回にわたって、法人破産について説明をしてきました。今回は、法人の民事再生手続について説明します。

 

2 破産と民事再生の違い

法人が経済的に破綻し、債務を弁済しなければならない時期に弁済ができない状態を倒産の状態といいます。このような状態の法人の清算をするための法的手続が破産です。

一方で、民事再生は倒産状態の会社の再建を目的とした法的手続です(なお、民事再生は法人の中でも主に中小企業を対象とし、比較的大規模な株式会社の再建型の手続は、会社更生手続という民事再生手続よりも厳格な手続が利用される場合があります。)。

破産手続では、裁判所に選任された破産管財人が、債務や財産の調査等を行って、財産を換価したうえで公平の観点から配当を行い、法人格を消滅させるという流れになりますが、会社の再建を目的とする民事再生では、裁判所に選任された監督委員の監督のもと、債務の一部を免除してもらい、分割して返済していく、あるいは免除後の債務を一括返済する等の計画をたてて、債権者の同意と裁判所の許可を得て、その計画(再生計画といいます)を実行していくという流れになります。

 

3 民事再生の3つの分類

民事再生手続上で、再生計画案は債権者集会での決議と裁判所の認可を得る必要がありますから、確かな裏付けを持った実行可能な弁済の計画を提示する必要があります。そのような再建のあり方については3つに分類されるとされています。自力再生型、スポンサー型、清算型の3つです。

自力再生型は、一部免除による債務の軽減と、不採算部門の閉鎖等の企業努力により再建を図るというものです。第三者の援助もなく比較的シンプルな方法で、規模の小さな会社の場合に選択されることが多いようです。

スポンサー型は、スポンサーとなる他の会社等から、直接的な資金援助を受けて再建を図る方法です。

清算型は、多角的に事業を展開している会社が、価値がある事業を営業譲渡して得られた代金で債務の弁済を図る方法です。

なお、スポンサー型や清算型のうち、スポンサーや事業譲渡先を、民事再生申立手続き前に決まっている場合のことをプレパッケージ型ともいいます。

 

4 早期のご相談の必要性

再建のあり方は以上のような3つですが、実行可能な再生計画でなくては、債権者の理解も裁判所の認可も得られません。債権者が、再生計画案に賛成するかどうかの判断に際しては、収支や弁済の見通しが立つのか、その裏付けとなるスポンサーや事業譲渡先となってくれるような企業があるのか、といった点が検討されます。さまざまな要因が絡んできますし、多くの場合状況は流動的です。また、民事再生手続きについては、申立代理人となる弁護士費用や監督委員選任のための予納金等の費用がかかりますので、厳しい資金繰りの中で諸々の費用を確保しなくてはなりません。費用の確保も重要なポイントです。

 

池田総合法律事務所では、倒産手続について多くの実績があります。会社の経営が思わしくない場合、できるだけ早くご相談くださいますと幸いです。最善の選択肢を模索することができるかと思います。

 

山下陽平