行政対応・行政紛争について

事業や営業をするには、予め権限を持つ行政庁の許可や認可が必要とされるものがあります。また、許認可の権限を持つ行政庁が、規制権限を持っていることも少なくありません。このように事業を営む上で、重要な意味を持つ行政対応についても、弁護士に依頼して解決をはかることができます。

許認可権限を有する行政庁は、事業によって異なり、都道府県(認可保育所、介護事業等)、警察署(警備業、リサイクルショップ等)、保健所(飲食店、薬局等)、労働局(労働者派遣業等)や運輸局(タクシー業等)等様々です。許認可の申請は、これらの行政機関に対して行わなければなりません。これらの行政機関に認可の申請等をして、認可の要件を満たしているはずなのに認可がなされないような場合、認可を受けなければ事業をできないのですから、行政による適時・適正な許認可が受けられるかは、事業にとって極めて重要です
また、一旦、許認可を無事に受けた後も行政庁の関与が完全になくなるわけではなく、行政庁が問題が生じていると判断した場合には、行政庁からなんらかの是正を求めるなどの行政指導を受けることがありますし、監督権限に基づいて、調査・報告を求められることもあります。このような場合、適切な対応を取らないと、最悪の場合業務停止や免許取消などの事業継続に関わる厳しい処分を受けることにつながりかねませんので、許認可を受けた後も行政庁への対応は極めて重要です。

以上のように行政は、許認可を与えたり、規制をしたりと多くの権限を持っていますが、これらは法律や条例に根拠があります。現場の感覚で不合理だと思う行政の主張も、法律などの趣旨から考えると納得のいく理由があるのです。
行政と交渉を行う際には、小手先のノウハウではなく、かならず行政の権限の根拠である法律、規則、条例や通達にさかのぼって考えることが必要です。
弁護士に行政との対応をご依頼いただいた場合には、法律等の趣旨から対応策を考えるとともに、法の趣旨に適合する形で事業者側の主張を展開します。

当事務所の弁護士が扱ったケースでは、匿名の通報をきっかけとして行政庁が事業主に報告を求めてきた事案で、従業員等からの聴き取り等の調査を行った上で、経緯の説明、法の趣旨から問題となる事案ではないこと、誤解を招きかねない行為の再発防止策等を内容とする報告書を提出するなど行政対応を行い、何の処分も受けずに、事業を継続できたこともあります。
また、行政庁からの重大な処分が免れ得ないケースでも、弁護士が関与することで、取引先や従業員への影響を最小限におさえる等次善の結果を得られる事があります。極めて重大な違反があり許可取消が免れ得ない段階でご相談いただいたケースで、弁護士が聴聞手続(重大な処分前に行政庁に対して事業者が弁解・防御する機会)に代理人として出席して、処分の前提となる事実関係の情報が不足していると主張して、通常一回で終了する聴聞手続を続行させ、その間に廃業・事業譲渡の準備を進めてもらったというケースもあります。重大な処分がなされることがほぼ確実であっても、弁護士が関与する余地があるのです。

なお、行政庁との交渉を行ったにもかかわらず、行政庁から許認可取消など何らかの処分を受けた場合には、行政内部の審査会での判断を求める行政不服審査や、行政の処分の取消などを裁判所に求める行政訴訟の法的手続きを行うことができます。一方、受けられるはずの認可等を不当に受けられない場合にも、行政不服審査や、認可などの義務づけをもとめる行政訴訟を提起することができます。

許認可申請をしたい、行政指導を受けてしまった、行政庁から調査報告を求められている、許認可取消のおそれがある等、行政対応についてお悩みをお持ちの方は、池田総合法律事務所までご相談下さい。
(山下陽平、小澤尚記)