野上陽子の摩天楼ダイアリー⑤

「 新型コロナウィルスに悩まされるニューヨークは今・・・ 」

 

日本では、コロナウィルスの感染拡大を防止する「3つの密を作らない」ということが繰り返し言われ、政府や自治体からの要請を繰り返しニュースや報道番組で流しています。しかし、3つの密―密閉、密集、密接―に関する記事(末尾に転載)をよく理解しないと大きな間違いを起こします。こんなことをするのは愚の骨頂です。この三つが重なると危ないのでなく、どれも危険で、してはいけない事です。大事な点は、3つの一つでも感染危機があるということです。

米国では外でも2メートル離れます。個人の家でも10人以上集まらない。ニューヨークで言われているのは、「近づかない、触らない、出かけない」の3つです。それでもすでに広がった感染は止められません。

学校に行くことの危険性を世界でいち早く阻止するために各国が進んで閉鎖しました。日本は衛生的な国だと過信しているのではないでしょうか。マスクをして手洗いをすれば大丈夫だと思っているのは、間違いです。マスクだけでは、空気中の菌を防げません。手洗いはハンカチやタオルに菌がついていれば同じことになります。日本でゴム手袋は、意味がない、などと言った意見を報道で流しているのを観ましたが、お馬鹿なことです。ニューヨークで見かけるのは、ゴム手袋したまま同じように何度も手洗いや消毒をしています。手袋は爪や細かな部分に菌が付きにくいです。

全般的に、日本では感染について甘い考えのように思います。野外でもどこでも感染します。現にバスの運転手や宅配便の人は密接していないのに感染しています。ニューヨークではレストラン、バー、洋服店など日常に支障がないお店は閉店し、同様に、美容院などは近くに客と店の人が長い時間一緒にいるので感染可能性が高いという理由で、名指しで閉店するよう指示が出されています。

日本では感染者と死亡者の数字だけに目が行き、どこで感染した否かだけがクローズアップされているのが目に付きます。日本の検査体制の整備が遅れていることが指摘されていますが、テストを増やせば実態が更に分かるでしょう。予想外に多くの人が保菌者で、本人が知らないうちに移している状況がわかるでしょう。そしてそれが感染経路がわからない原因です。

ニューヨークのTV等の報道に比べると、医師や看護婦がどれだけ苦労しているか、患者がどれだけ苦しんでいるかなどの報道が少ない印象です。考え方の違いでしょうか?

毎晩7時に2分間サンキューの叫びと鍋叩きがあります。ニューヨーク中の人がするこの時間はもう3週間になりますが 毎日雨でも寒くてもあります。医師、看護師、消防士、警察官、お店を開けてくれる従業員、みんなにありがとう😊のメッセージです。

ニューヨークでの報道では、最近まで、糖尿病などの持病持ちで高齢が危険だと言われていたのですが、これに、喘息と肥満が加わりました。年齢は免罪符にならなくなってきましたが、勿論、高齢者は体力と免疫がないので危険です。米国は、何でもオープンに報道するので状況や状態が把握しやすいと思います。感染者は、まず微熱と怠さが始まり、悪寒、節々が痛みます。咳はない場合もあります。息が苦しい感じが出たら、それから症状の悪化は速いです。肺炎の症状が出て3日間で亡くなる人もいます。風邪のような鼻水、鼻詰まりがないそうです。

4月7日までのニューヨーク市での感染者確認は7万2324人、そのうち3202人が亡くなりました。そして、私の住むマンハッタン地区では1万1504人が感染、604人が死亡しました。今回のコロナウィルス禍での死者は、2001年の同時多発テロによるアメリカ全体の死者数を越えました。

数日前に友人の息子さんが熱と下痢があったと連絡がありました。その後熱が下がったようです。先日、ニューヨークのCNNニュースキャスターが感染しました。今一番注目を浴びている夜10時からの番組キャスターです。彼はニューヨーク州知事の弟です。彼は毎日自分の症状、医師、州知事、政府、それぞれの報道をしていました。1週間目で、彼は熱が上がったり下がったり、悪夢と変なものを見る、息が切れる、肺が小さくなるように感じる、実際の彼の肺のレントゲンを見せて自分の状態を見せながら、毎日緊迫した体調と闘って素晴らしい報道をしていました。とても残念です。

ニューヨークのTV番組では、亡くなった人の紹介をしています。医師、看護婦、バスや地下鉄の運転手、マーケットの従業員、みんな人のために働いて亡くなっています。このような英雄を思い、無駄にしないように今頑張ろうと呼びかけています。

以上、ニューヨーカーの目に映っている心配事を書きました。感染は1度でなく3度波のように来ると過去の感染の歴史に照らして、アメリカの専門家たちは警鐘を鳴らしています。そのようにならないとよいけれど、と息を飲んで中国事情を見ています。

2020年4月10日   野上陽子(ニューヨーク市マンハッタン在住、コンサルタント会社を経営)、サイトのご案内  https://www.ynassociates.net/

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