高齢者住まい法をご存知ですか?

4人に1人が65歳の高齢者という時代。最近の傾向として、歳を取ったら、住み慣れた自宅にこだわらないで他に移るという選択をする方々が増えているという調査結果があります。高齢者だけの世帯も増えていて、不安を抱えるよりも、サービスを得て安心して暮らしたいという気持ちの表れのように思います。

 

平成23年4月に高齢者の居住の安定確保に関する法律、いわゆる「高齢者住まい法」が改正されました。「有料老人ホーム」と「高齢者専用賃貸住宅」(居室の賃貸借契約で、生活関連サービスは任意)を一元化(統合)する制度として、登録制の「サービス付き高齢者住宅」という法律概念が創設されました。介護・医療サービスと連携して安心して暮らせる住居の提供を社会全体で後押しする、という目的です。

 

床面積や建物の構造などのハードだけでなく、前払い金の返還、契約前の書面の交付や説明など、事業者として守らなければならない事項の規制があります。

 

ここ数年、入居したらパンフレットと違っていた、あるいは入居して3ヶ月もたたないうちに解約して退去したが入居一時金の殆どが返還されない、といったトラブルが相次いでおり、こうした事案についての判例も出されています。こうしたことにも対応しようということでもあります。

 

入所施設の経営は、福祉系の施設には設置主体に制限がありますが、有料老人ホームには特に制限がありません。高齢者ビジネスを考える上で、家賃相当額を基準にした入居権利金、一時金の設定や適切なサービス、その表示の仕方などを考えますと、今しばらくは、こうしたビジネスチャンスの中で、淘汰される事業者がかなり出てくるものと思われます。(池田桂子)