AIとSNS

最近では個人がX、インスタグラムなどのSNSで情報発信をする際に、AIで生成したコンテンツを掲載することも増えています。具体的には、AIを使ってオリジナルの写真の背景を変えたり芸術風に仕立てた写真を掲載する、自分のイメージする画像をAIに作成させ、掲載するなどです。

今回は、AIを使用して生成した画像や動画などをSNS上に掲載する際のリスク等について、お話ししたいと思います。

 

1 著作権侵害のリスク

AIで画像や写真などを生成する場合、既存の著作物(イラスト、写真、キャラクターなど)を参考にするようAIに指示を出し(依拠性)、類似した画像を生成した場合(類似性)、著作権侵害となり得ます。

著作権侵害のリスクについては、前回の記事「AIと広告」でご説明していますので、ご覧いただけたらと思います。

なお、IoT・ビッグデータ・AI等の技術を活用したイノベーションに関わる著作物の利用に係るニーズのうち、著作物の市場に大きな影響を与えないものについては、平成30年の著作権法改正により、著作物の利用の円滑化を図るべく、「柔軟な権利制限規定」が整備されました。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html

具体的には、①通常権利者に不利益を及ぼさないもの(人工知能(AI)開発のための深層学習、サイバーセキュリティ確保のためのソフトウェアの調査解析、所在検索サービス、情報解析サービス等)、②権利者に及ぼし得る不利益が軽微なものに留まる形で著作物の利用行為が行われる様々なサービス等の実施については、権利者の許諾なく行うことが可能となりました。

これにより、イノベーションの創出等が促進されることが期待されます。

ただし、上記の「柔軟な権利制限規定」は、「思想・感情の享受を目的としない利用」に限られ、本稿で述べる個人が自らのSNSで、AIで生成した画像やイラストをSNSに投稿したりする場合には当てはまりませんので、ご注意下さい。

 

2 名誉毀損のリスク

たとえばAIを使って著名人の顔写真と他の画像とを組み合わせ、わいせつな画像を作成したり、面白おかしく作った画像(これらを「ディープフェイク」と言います。)をSNSに掲載した場合、当該著名人に対する名誉毀損罪等の成否が問題となり得ます。

近年の裁判例では、アダルトビデオの出演女性の顔に別の女優の顔を合成加工して作成した動画をネット上に公開した行為につき、タレントとしてのイメージとその名誉を毀損し、不快感等の精神的苦痛を及ぼすと同時に、芸能活動への支障によって多大な経済的損害を及ぼしかねない非常に悪質な行為であるとして名誉毀損罪(刑法230条1項)の成立を認めたものがあります(東京地裁令和2年12月18日)。

なお、この裁判例では、アダルトビデオの著作権者から見れば、その販売に支障を生じさせ、経済的損害を及ぼしかねない行為として著作権侵害(著作権法119条1項、23条1項、27条、28条)の成立も認めています。

 

3 おわりに

AIで出来ることが飛躍的に増える中、AIで作成したコンテンツを使って情報発信をすることも当たり前となってきています。

しかし、上述したとおり様々なリスクがあり、無用なトラブルを生まないためにも慎重さが必要です。

(石田美果)