医療事故

医療過誤の検討や説明会の開催

治療中に不幸にして予想外の結果となって、後遺症が生じたり、死亡したりということで患者本人も家族も動揺します。こうした場合に、医師の診療は、結果を請け合うものではありませんので、当然に過誤があるとは言えません。しかし、諦めきれない思いに対しては、過誤が果たしてあったのかどうか検討することをお勧めします。
カルテの記載、協力医の意見等に基づいての検討です。
また、患者・家族として得心のいかない点について説明を求めたりする説明会開催を申し入れたり、その際の説明を求める事項を検討するといったことのお手伝いが出来ます。
池田総合法律事務所の弁護士が、病院において、医師から患者・家族が十分な説明を受ける機会に同席し、患者・家族をサポートさせていただくことも可能です。
医療事故調査制度が発足し、医療機関にとっても予想外で死因がはっきりしない場合には、病院側から解剖の申出がなされる機会が増えてくることが予想されます。こうした解剖するかどうかの判断を迫られるような切迫した場面でも、アドバイスが可能です。

損害賠償請求

医療過誤があると考えられる場合でも、いきなり裁判ということには誰もが躊躇するものです。まず、示談の申し入れをし、その中で解決する実例が多数あります。また、一旦、訴訟を提起したとしても、和解で解決する例も相当数あります。

示談や和解では、謝罪や再発防止等への取組への約束等、金銭賠償以外の患者・家族の思いを実現できる余地があります。池田総合法律事務所では、訴訟だけではなく、示談解決の代理人としてのお手伝いをします。

説明義務は尽くされたのか疑問がある場合ついて

最近は色々な分野で説明義務が問題とされています。とりわけ、高度に専門化、細分化した医療の分野では、インフォームド・コンセントないしインフォームド・チョイスと言われて、説明の重要性が強調されています。
結果ばかりでなく、十分な説明がなされたかが問題となりえます。そのような場合には、結果として予想外の結果を招来しても、賠償請求の余地があり、この点を池田総合法律事務所ではご一緒に考えていきます。

  1. Q1 父を安全と言われていた手術で亡くしました。病院の方では、事故扱いとして、原因調査をすると言っています。こうした調査結果は、信用出来るのでしょうか。

    A1 2014年6月に医療事故調査制度というものが発足しました。医療に起因し、または、その疑いのある死亡例などのうち、事前に予期出来なかったものについて、病院が自ら調査をし、その結果を家族や中央の集約機関(「医療事故調査・支援センター」)に報告をするという制度です。

    病院自らが行う調査です。予期出来たものが除かれます。また、予期出来たかどうかも病院自身の判断に委ねられています。事故報告が賠償問題にも結びつくという懸念もあるのでしょう。徐々に、報告件数は増えてはいっていますが、現状では当初予定した件数ほどの報告はありません。
    また、外部の専門家を入れて客観性を確保するようなメンバー構成とすることが望まれますし、そのための支援体制もとられています。最終的に、外部委員を入れるかどうかも、病院の判断に委ねられています。

    遺族は、調査結果に疑念をもった時は、センターに、自ら、調査の申立をすることもできますので、利用してみることもよいと思います。

    この調査制度は、事故原因を追及し、再発防止につなげていくことに主眼があり、医療従事者の責任、医療機関の賠償責任を問題とするものではないのですが、そうはいっても、この両者は、密接に結びつき、単純に、別問題といって割り切れないことが、制度が浸透していない理由ともなっています。

    調査内容に不服があれば、カルテ、画像などを医療機関から入手し、協力医の協力のもと、独自に検討するほかありません。
    当事務所では、医療に関する法律問題のエキスパートとして、こうしたお手伝いもしております。

  2. Q2 認知症の母が施設の自室で転倒し、大腿骨骨頭を骨折し、寝たきりとなってしまいました。施設に賠償請求が出来るでしょうか。

    A2 いわゆる介護事故の中でも、転倒事故は、7~80%も占めています。事業者側に責任を求めうるかどうかは、裁判所の裁判例の蓄積があります。

    責任の有無については、①転倒が予測できたか。②転倒を回避することが出来たか、それを行っていたかどうかが問題となります。①については、過去に転倒歴があるかどうかが、大きなポイントで、②については、利用者の心身の状況に応じ、付添、見守り等が出来る人的体制が現にあったかどうか、また、物的施設に不備はないか、といった点が問題となります。

    質問の例では、お母様の認知症がどの程度であったのか、歩行に障害、不安定といったことがあったのか、過去に転倒したことがあったのかなど、また、施設側では、職員の監視体制をとっていたのか、その監視体制の負担が事業者にとって過大なものではなかったか等といった点が、判断のポイントになります。当事務所では、こうした介護事故の事例につき、原因調査をすること、また調査を受けて賠償責任の有無を検討したり、賠償請求の交渉をするといった一連の対応が可能です。

  3. Q3 私の夫は、大腸ガンでS状結腸を切除しましたが、その後、縫合不全から、腹膜炎となり、最終的には敗血症で死亡しました。担当医は「申し訳ない」と頭を下げてくれましたが、私は、夫の死亡について賠償請求をすることができますか。また、そのためにはどういう手順を踏んだらいいでしょうか。

    A3 法律的には、医療機関は、患者との間で診療契約を結んでおり、医師はその当時の医療水準に従った医療を行う義務を負っており、その義務に違反した時には、賠償責任が発生することにはなります。しかしながら、その義務は、結果を請け合う性質のものではありません。医療行為の結果、死亡、後遺症の発生という悪い結果が生じても、そのプロセスの中で医療水準に従った医療行為がなされていれば、直ちに責任を負うことになる訳ではありません。

    また、医師の「申し訳ありません」という発言は、具体的な医療行為についての個別的な問題点を自ら認めたうえでの発言であれば別ですが、ただ、「申し訳ありません」という発言は、法的な意味では責任を認めたことにはならず、『力及ばなかったこと』に対する道義上の謝罪にすぎません。縫合不全についても、手技上のミスがある場合も勿論ありますが、一定確率で避けられない合併症として生じる場合もあり、直ちに義務違反ともいえません。

    ご相談のケースでは、ご主人の病状、症状の推移を、時系列的に追いながら、局面ごとでの義務違反があったのか、説明として十分であったか等、専門的な検討が必要となってきます。資料としては、医療機関から、カルテ、画像等の開示を受け(場合によっては、裁判所の証拠保全命令で入手することもあります。)、協力医の助言も得ながら、責任の有無を検討していくことになります。ご本人ではこうした検討は困難ですので、医療紛争に精通した弁護士に検討を依頼すべきものです。

    池田総合法律事務所では、こうした医療紛争にも対応しています。