廃棄物処理
循環型社会という言葉が一般的になってきましたが、廃棄物については廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)により、不法投棄が繰り返されてきたなどの理由で、強力な規制がかけられています。
排出事業者の責任
廃棄物処理法では、一般廃棄物は市町村に処理責任があるとされています。
しかし、産業廃棄物については、排出事業者が自らの責任で適正に処理する責任を負っています。
そして、排出事業者は、産業廃棄物が出た時点から、マニュフェストE票が戻ってくるまでの一連の流れを把握して、産業廃棄物が最終的に適正処理されることを見届けなければなりません。
しかし、出発点の委託契約書の締結のとき、収集運搬業や処分業の会社の方から示される委託契約書をただ使っていることが多いと思います。
契約締結のとき、契約書の内容を十分チェックしていますでしょうか。
処理委託契約の内容については、廃棄物処理法が規制をしていますので、契約書の内容をきちんと確認しなければ法令遵守(コンプライアンス)ができていないことになります。
もし廃棄物処理法に違反すれば、損害賠償責任などの民事責任で莫大な支出を強いられたり、業務停止命令・営業許可取消などの行政処分で営業ができなくなったり、最悪の場合には刑事事件にまで発展する可能性もあります。
また、廃棄物を適法に処理できなかった会社として評判を落とす可能性もありますので、産業廃棄物の処理には十分な注意が必要になります。
収集運搬事業者・処分業者
産業廃棄物の収集運搬や処分をされている会社も、法令は頻繁に改正されますので、その内容に沿って業務を変えていく必要があります。
いまの業務のやり方を長年続けてきたからということでは、法令違反になるかもしれません。法令違反になれば、依頼主にも多大な迷惑をかけることになります。
何よりも許可が取り消されるなどして、事業が続けられない可能性もあります。
収集運搬や処分の事業者の方も、産業廃棄物の処理について、法令を遵守するために専門家と継続的に相談することが必要です。
廃棄物処理法等の環境法令の知識の重要性
廃棄物の収集運搬業や処分業を中核事業としている事業者様、中核事業でなくても収集運搬の許可を得られている事業者様は多数あります。
そういった廃棄物処理業に関わる事業者様の中には、許可の根拠となっている廃棄物処理法の理解が十分で無い事業者様もいらっしゃいます。
また、会社の経営層が廃棄物処理法について十分な知識を持っていても、会社の従業員はまったく廃棄物処理法について知識を持っていない方は大勢います。
しかし、廃棄物処理法は、不法投棄とのいたちごっこ等の歴史的経緯から、他の業法に比べて格段に厳しい規制がなされています。
また、廃棄物処理法や、大気汚染防止法違反、水質汚濁防止法違反等の環境法令違反を理由に警察が捜査に乗り出した場合には、警察は隠密に排気のサンプルや採水サンプルを得て、それを分析機関に持ち込み、法令違反が明確になって初めて会社に事業を聴きにきます。
したがって、警察が会社に事情を聴きに来た段階では、刑事手続上では取り返しのつかない段階に至っていることがあります。
内部通報制度を会社内に設置することで、事前に不正の芽を摘み取ることが必要です。池田総合法律事務所では内部通報制度の窓口になることもできます。
従業員研修
廃棄物処理法等の環境法令違反は、違反をした者が従業員でも会社の許可の取り消しになりえます。
会社としては、従業員に対して、繰り返し廃棄物処理法等の環境関連法令の法令遵守教育をする必要があります。
池田総合法律事務所では、廃棄物処理法等の環境法令に関する法令遵守のための研修会の講師などもさせていただきます。