ポストコロナに向けて事業見直しの視点~コロナ禍危機下でここからが経営者の勝負どころ~

1 はじめに

新型コロナウィルスの感染拡大により、個人生活はもとより会社経営のさまざまな事業局面に影響が生じています。2021年1月には2度目の緊急事態宣言が首都圏、近畿圏、中部圏などの11都府県に出されました。完全な終息はいつとなるのか予測はつきません。新型コロナウィルスの関係では131万人が失業したといわれる一方、株高などにみられる金余りで投資先を探すなどの状況も見られます。

先行きの不透明感を抱えながらも、DX(デジタル・トランスフォーメーション)をはじめスタートアップ企業の誕生がつづくなど、いろいろな変化が見られます。また、従来の業務を見直して、コロナ後に向けて、仕事の進め方や働き方を見直し、変化へのスピード感のある対応をしようという姿勢が大切であると思います。

様々な変化が急激に起きる今日、維持・成長・変革につながる新たな視点に気付いた企業、企業家は強いと思います。大きな枠組みで、法律上の今考えるべき視点を整理して、連続ブログを企画しました。予定している内容は、後述の通りです。

皆さまのお役に立てれば幸甚です。

 

2 DXへの取組み

初回のこのブログでは、最近、よく聞くDXについて、少し述べてみたいと思います。

DXデジタルトランスフォーメーションについては、経済産業省がデジタルトランスフォーメーションのガイドライン(DX推進ガイドライン)を2018年12月にまとめています。それによれば、DXとは企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービスビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立することを指しています。

本ガイドラインは、DXレポートでの指摘を受け、DXの実現やその基盤となるITシステムの構築を行っていく上で経営者が抑えるべき事項を明確にすること、取締役会や株主がDXの取組をチェックする上で活用できるものとすることを目的としています。

本ガイドラインは、「(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み」と、「(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2つから構成されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネットワークやIT化の進んでいない企業も多いところ、紙の文書をデジタル化することでデータのやり取りを各段に便利にし、それをもとに個別の業務をデジタル化する(例、テレワークでネットを使う、ネット決済など)、更には全社的に業務をデジタル化を展開するという段階を進んでいきます。

コロナ禍にあっても、進めておかなければならないデータの利活用を検討していただき、社内、グループ会社間、他社との連携や協力を見直し、新しい企業価値の創造を目指すことは、どの事業者にとっても避けて通れないところと思われます。その見直しの過程で、事業の変更、リスクの洗い出し、自らの事業の強化策、できること・できないことの整理などが明確になってくるものと思います。

 

3 予定している企画内容

(雇用をめぐる問題)

1 働き方改革の枠組み

2 最近の正規・非正規の格差解消をめぐる判例

-最高裁の5つの判決と同一労働同一賃金の原則について

 

(事業再編や事業承継をめぐる問題)

3 廃業を考えるなら、事業承継の4つの手法をまず検討―親族への承継、M&A、自社株売買、信託の活用

4 ベンチャー企業による資金調達

 

(組織の見直し)

5 情報管理-個人情報保護法の改正と情報セキュリティー問題への理解を深めておく

6 社内クレームへの対応-ハラスメントはどこにでも起こりうる意識をもって

7 債権回収の進め方

 

(業務の見直し)

8 不正競争防止法を意識していますか

9 文書管理は適切ですかー契約書印の廃止と文書の保存

10 ディスクロージャーとの遭遇も考えておく

 

<池田桂子>