不動産の売買・請負の契約解消をめぐるトラブル(相談事例から)

最近、婚活サイトを通じて、若い女性の結婚願望を利用して相場より高くマンションを買わせる商法が問題となっています。

不動産は高額で、一生に1回あるかないかの買物で、トラぶった時の購入者に与える影響は大きいものがあります。

 

結婚詐欺まがいの上のような例では、詐欺の立証は容易ではありません。

ただ、不動産についても、訪問販売の際のクーリングオフを定めた特定商取引法の網がかかるようになり、解約がしやすく、損害を少なくする仕組みが、十分ではありませんが、法律上出来ています。

しかし、その適用にあたっては、複雑な面もあり、どういう場合にクーリングオフの適用があり、また、ないのか等、整理してみたいと思います。

 

1.住宅の新築、リフォーム等請負契約の場合

請負業者がやってきて、リフォーム等をすすめられ、押し切られて、ついつい契約してしまう例を見うけます。この場合、契約を締結してから8日間は、特別の理由がなくても、契約した人は契約を解除することができます(クーリングオフの権利)。しかし、相手の会社や展示場で契約をした場合や、営業マンを自宅に呼んで契約を締結した場合等は、駄目です。

クーリングオフは、8日以内に書面で行います。契約にあたって、クーリングオフ等に関する説明書面(法定書面といいます。)の交付が必要であり、その書面の交付がない場合、あるいは、解約はできないとか、違約金を支払わないと解約できない等嘘をいって、クーリングオフの行使を妨げた時には、8日間を経過しても解約することができます。

クーリングオフは無条件でできますので、違約金を支払う必要はありませんし、違約金の定めがあっても無効です。また、たとえば、工事をやりかけていたとしても、業者の費用負担で、業者が、原状回復をしなければいけません。

また、クーリングオフが出来ない時に、解約をして、契約上の違約金の請求をうけることがあります。この場合、言われるまま、支払わなくてはいけないものではありません。消費者契約法では、業者の被った平均的損害以上の違約金を消費者には請求できないとなっており、しかも、その平均的損害については、業者の方で、その立証をする必要があります。

 

2.土地・建物の売買契約の場合

建築目的で取りあえず土地だけを買ったり、建売住宅を買うような場合、売主が宅建業者である場合は、1の場合と同様、訪問販売の場合は、クーリングオフが出来ます。個人が売主の場合、業者間取引、営業目的で買った場合、業者の事務所や展示場で契約をした場合には、クーリングオフの適用はありません。但し、現地の仮設テント等で契約をした場合には、適用があります。

クーリングオフの適用がない場合であっても、解約に当たっての違約金について、1と同様、業者は平均的損害以上の賠償請求はできません。また、宅建業者が売主の場合、宅建業法により違約金額等の上限額が、代金額の20%と定められています。

 

簡単に諦めず、弁護士等の専門家に相談、委任する等して、粘り強く交渉しましょう。

(池田伸之)