会社法改正の動き-「社外取締役を置くことが相当でない理由」って何?
会社法の一部を改正する法案等が昨年11月の臨時国会に提出され、結局、同国会では審議されずに継続審議とされています。
平成18年から施行された会社法の全面的改正以降、社外取締役の果たす役割に期待して、監督機能を強化すべきとの指摘が強くなり、この法案では、社外取締役の確保が重要項目の1つとなっています。
今回の法案では、上場会社等、有価証券報告書の提出義務が課される会社について、社外取締役の選任を義務付けすることまでは見送られていますが(社外性の要件自体は厳しくなっています。)、選任しない場合には、定時株主総会において、「社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない」という法案となっています。
社外取締役を置かない理由としては、費用がかかる、適任者がいない、外部から人が入ってくると意思決定がスムーズにいかない等、いろいろ思い浮かびますが、社外取締役を置くことが「相当でない」と誰もが納得するまでの理由は、思いつきません。
仮に、会社が説明した「社外取締役を置くことが相当でない理由」が、「相当」(=妥当)でないとしても、それによって、総会での議決等が無効、取消ということになるわけではありません。しかし、会社のガバナンスに関わる点について、投資家等の厳しい目にはさらされることに意義はあると思います。
母親の言い付けを守らないで、くどくど言い訳する子どものように思われるくらいなら、社外取締役を選任した方が賢明で、法案成立に備え、今からその準備をすることをお勧めします。(N)