景品商法にご注意を-コンプガチャは?握手券は?アプリで賞品は?

先日、消費者庁が、携帯電話で遊べるソーシャルゲームの「コンプガチャ」問題で、「コンプガチャは違法になることを明確にする」と発表しました。景品表示法違反の「カード合わせ」に当たるとの見解と運用基準を正式に示しました。同様に、例えばビンゴゲームのように、異なる絵柄のカードを一列にそろえるとレアアイテムがもらえる「●●ガチャ」なども違法ということになります。本年7月1日以後は、同法違反として罰則のある措置命令の対象となります。

 

消費者なら誰もがより良い商品やサービスを求めます。しかし、事業者側は実際より良く見せかける表示を行ったり、過大な景品付き販売を行って消費者の関心を惹こうとするのが常です。消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあることから、景品表示法が、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限しています。同法は、くじで買って複数の特定のカードや絵を集めると、より希少な品物と交換する商法を、 射幸心をあおる「カード合わせ」として禁じています。

 

この運用は公正取引委員会によって行われ、違反した業者には「排除命令」が出され、この命令に従わなかった場合には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられます。

 

一般に、景品は粗品、おまけ、賞品などを指しますが、法律上、「景品」とは、①顧客誘因の手段として、②取引に付随して、③物品、金銭その他経済上の利益、と定義されます。くじ等の偶然性、特定行為の優劣によって景品を提供する「一般懸賞」の場合、取引価額の20倍までを最高限度額、総額は売上げ予定総額の2%となっています。複数事業の共同の場合は、取引価額にかかわらず30万円、総額売上予定額の3%です。

 

懸賞によらずに、もれなく提供される金員類は、取引価額の20%が最高額です。新聞業、不動産業、雑誌業などでは別途の制限がありますので、注意してください。

 

最近の商売で言えば、ゲームアプリ購入者を対象として抽選でギフトを提供すると行った場合、懸賞による景品類の提供となりますから、対象者が国内外を問わず、事業者が日本国内で行う場合には、景品表示法の規制を受けます。

 

ところで、今や国民的アイドルとまで言われるAKBですが、CDについてくる握手券の場合はどうなのでしょう。むしろ握手券を目的としてCDを購入する人が多いのも事実でしょう。本来ならば、握手券そのものが取引商品といった印象ですが、AKBは握手券が封入されていてもいなくともCDは一律の値段なので、握手券は、あくまで「おまけ」という建前です。

 

しかし、昨年、AKBメンバーとの劇場版握手券を偽造して売ろうとした刑事事件で、東京地方裁判所は、財産上の権利を表象した有価証券であるとの判断を示しました。CDよりも握手券にこそ、やはり財産的価値はあるという見解もあるようです。

 

また、一見、景品表示法では問題はないようにも見える握手券ですが、なにか変な感じ?握手という身体的な接触を「おまけ」とすることで成り立っているこの商法は、キャバクラなどではないけれど、風俗営業取締法の対象とどれほど違うの?(紙一重)と感じるのは私だけでしょうか。(池田桂子)