環境問題と再生エネルギーその他環境に関する連載5

~太陽光発電と規制~

1 FIT制度のもとでの太陽光発電の普及と弊害

2012年,固定価格買取制度(FIT制度。Feed in Tariff)が導入されたあと,再生可能エネルギーとして太陽光発電の普及が進みました。

しかし,太陽光発電設備が,山林を切り開いて設置されるなど,環境への悪影響も同時に表れてきました。

そこで,条例などにより規制が設けられることになり,現在に至ります。

 

2 太陽光発電設備に対する条例の規制

(1)条例の制定状況

太陽光発電設備に対する条例は,一般社団法人地方自治研究機構(http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/005_solar.htm)によれば,2021年10月1日時点で県では4条例(兵庫県,和歌山県,岡山県,山梨県),市町村が161条例の合計165条例があるとされています。

愛知県であれば,瀬戸市,大府市,東栄町に条例があります。

岐阜県では,御嵩町,中津川市,恵那市,関市,瑞浪市,可児市に条例があります。

三重県では,志摩市,鳥羽市,南伊勢町,名張市に条例があります。

(2)条例の種類

市町村条例では,太陽光発電設備の抑制地域を設定し,抑制地域内の事業は許可しないとするものや,許可制とするもの,届出制として市との事前協議を求めるものなど様々です。

また,抑制地域を定めて,抑制地域外については届出・市の同意を必要とするものなどもあります。

他にも,禁止区域を設定し,禁止区域では事業を禁止し,禁止区域以外では太陽光発電事業を許可制とするものもあります。

さらに,禁止区域を設定したうえで,禁止区域以外に抑制地域を別途設定し,許可制とするものもあります。

禁止区域・抑制地域という区分なしに市町村全域について,届出制とする条例もあります。

 

3 太陽光発電設備と農地法

休耕農地などに太陽光パネルが設置されて,発電をしている光景は郊外では見ることが多くなりました。

しかし,農地については農地法で規制がかかっています。

そこで,農地に太陽光発電設備を設置する場合には,農地法の農地転用許可が必要になります。

許可を得ること無く,無断で太陽光設備を設置すると農地法64条で罰則が定められています。

太陽光発電設備を設置するための農地転用許可については,平成30年度で許可件数1万1105件(1695.5ヘクタール),令和元年度(平成31年度)で1万2256件(1981.8ヘクタール)の実績があると農林水産省は発表(https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/einogata.html)しています。

 

4 最後に

池田総合法律事務所では太陽光発電設備等のビジネスの構築の支援や助言などを行っておりますので,池田総合法律事務所に一度ご相談ください。

〈小澤尚記(こざわなおき)〉