環境問題と再生エネルギーその他環境に関する連載10

~廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインの改定~

 

1 特定管理廃棄物に指定された感染性廃棄物について

 廃棄物処理法により特別管理廃棄物に指定された感染性廃棄物(人が感染し,または感染するおそれのある病原体が含まれ,もしくは付着している廃棄物またはこれらのおそれのある廃棄物)は,環境省の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき処理される必要があります(https://www.env.go.jp/content/000044789.pdf)。

 

2 環境省「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」の改定

昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により,新型コロナウイルスが含まれていたり,含まれているおそれのある廃棄物が大量に発生しました。

こういった新型コロナウイルス感染症関係の感染性のある廃棄物は,医療機関だけではなく,宿泊療養施設でも発生しますし,介護施設や家庭,事業所でも日々発生しています。

環境省の「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」 (https://www.env.go.jp/content/900532873.pdf)が令和3年6月に一部改訂されています。

ここでは,

①家庭,事業所及び宿泊療養施設

家庭,事業所及び宿泊療養施設から排出される感染者の生活系廃棄物(マスク,使用したティッシュ,使い捨ての食器,オムツなど)は,感染性のある廃棄物ですが,医師等が医業等を行う場所から排出されるものではありませんので,廃棄物処理法に定める感染性廃棄物が排出される施設には該当せず,感染性のある廃棄物であっても廃棄物処理法上の感染性廃棄物としての処理が義務づけられてないことが明確化されています。

もっとも,事業所及び宿泊療養施設から排出される廃棄物は事業系一般廃棄物または産業廃棄物には当たりますので,排出事業者は適切に処分をする必要があるのは,廃棄物一般と同様です。

②医療関係機関等

医療機関や検査機関等から排出される,注射針などの医療器材,カテーテル類等のディポーザブル製品,ガーゼ,オムツ等の衛生材料については,廃棄物処理法上の感染性廃棄物にあたるとされていますので,医療関係機関等の感染性廃棄物の排出事業者は,通常の感染性廃棄物を扱う際と同様に,廃棄物処理法の処理基準に従わなければなりません。

 

3 最後に

以上のとおりですが,その時々で新たに発生する廃棄物関係の問題についても,廃棄物処理法や環境省等の通達をもとに,排出事業者も処理業者も適切に対応していく必要があります。

池田総合法律事務所では廃棄物処理関係の支援や助言なども行っておりますので,池田総合法律事務所に一度ご相談ください。

〈小澤尚記(こざわなおき)〉