相続税増税時代の対処法

本年1月1日以降に相続や贈与によって取得する財産に関する相続税について、改正された相続税法が施行され、これまでよりもより多くの方が相続税を支払うようになると言われています。

相続に関しては要点は4つ。そのほか、相続時精算課税の要件などが変わります。

 

要点1

まず、遺産にかかる基礎控除が引き下げられました。

従来5000万円+1000万円×法定相続人数⇒改正後3000万円+600万円×法定相続人数

妻と子ども二人が法定相続人として残された場合、4800万円の評価を超える遺産相続のケースでは、相続税の申告が必要です。

 

要点2

最高税率の引き上げなど相続税の租税構造が変わりました。

各法定相続人の取得金額が1億円以下ならば税率30%、5000万円以下20%、3000万円以下なら15%、1000万円以下なら10パーセントで従前と変わりませんが、1億円超から2億円以下は40%、2億円超から3億円以下は45%、3億円超から6億円以下は50%、6億円超以上は55%と区分が細かく、最高税率がアップされました。

 

要点3

税額控除の引き上げ

未成年者控除が20歳までの1年につき6万円⇒10万円、障害者1年につき6万円⇒10万円。

 

要点4

小規模宅地等の特例の拡大

①    居住用の宅地の限度面積が240㎡(減額割合80%)⇒限度面積が330㎡

②    居住用と事業用の宅地を選択する場合

居住用~240㎡、事業用~400㎡で合計400㎡の制限⇒居住用~330㎡、事業用~400㎡、合計730㎡まで適用可能

 

税金を払うくらいなら、節税したいというのが人情です。

節税の基本  は、次の3つ。

1 資産を減らす

2 評価を下げる

3 控除項目を活用する

資産を減らす方法として、あげられる例として、①20年連れ添った配偶者への居住用資産の譲渡―2000万円相当、②孫への教育資金の贈与―1500万円まで、③住宅取得資金の贈与、耐震省エネなら1000万円まで、④先代から後継者への非上場株式の生前贈与等があります。

 

生前贈与をする場合、受贈者が先に亡くなってしまう場合などの番狂わせがあったり、不動産をその後の事情で売却したいなどと言った事情が出てくる場合もありますから、慎重に考えることも必要です。良かれと思って節税のつもりがリスクを伴うこともありますから、迷ったら専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。<池田桂子>