野上陽子の摩天楼ダイアリー②

「日本のキャッシュレスに驚き・・・、ニューヨークでは」

アメリカに渡った当時の80年代は、税金番号を登録しそれを持って銀行口座を開設しました。学費も学生宿舎も小切手に署名しました。日本では小切手は、個人が発行することはなく会社が発行するものと思っていたので緊張して使用していました。1990年代からインターネットが普及して、銀行口座から直接支払いが出来るようになると、小切手を書いて郵送する機会はどんどん減少し、現在、米国では、支払いはオンラインで、買い物は10円でも出前もクレジットカードで支払います。コインランドリーも現金でなく洗濯カードをクレジットカードで買います。

各銀行は顧客確保のため使用した金額をポイントとして現金を顧客に還元するサービスをしています。各銀行はポイント(現金還元)と金利をそれぞれの銀行が決め競争しています。5万円から150万円までの枠のクレジットカードを、低金利かどうかを考えて、また、収入と借金返済の状況を勘案して、カードでの支払い時期を設定します。銀行は金利を稼ぎ、顧客は請求が半月、1か月後なので生活費の計画が出来ますので、それぞれに利点があります。アメリカでは、従来からクレジット払いが定着しています。

今秋に日本に一時帰国して、その期間、交通系のプリペイド、SUICA(スイカ)を現金のように使い、クレジットカード、VISAカードも使っています。個人的には、クレジットカードは、銀行から即時使用状況Emailで確認連絡が来ますので、少し安心ですが、日本のキャッシュレスの携帯電話決済は、個人情報漏洩が米国で問題視されていて、どのようなサイトを見ているか、どのような好みか、政治や思想にも利用されて、自分の位置情報も把握されることになることにつながるため、使用には抵抗があります。

それと日本の場合、“支払い端末”装置の安全性が完璧なのかどうかも気になります。例えばシステムはどこの国が作ったのか? また企業が個人情報を確実に管理しているか、などです。もう一つ心配な点は、日本の個人情報漏洩についての法律が米国のように厳しいのかどうかが判然としません。すぐに、米国ではクレジットカード会社が調査したり、ケースによっては刑事事件として捜査する仕掛けが用意されています。ニューヨークでは、地下鉄や市営バスも携帯タッチで決算になるようテストが行われていますが、公共交通カードMTAがまだまだ主流です。MTAとは、スイカやパスモと同じですが、買い物には使えない点は大いに違います。

ニューヨークの話ですが、以前、自分名義のカードを無断に使用されているという人がいて、相談されることがありました。そんな場合は、まず警察へ被害届を出しました。その後、裁判所への出頭通知が来ました。原因は、相談した人が、入院中に配達された郵便物から、被害者(相談者)の口座を調べ、成りすまして利用したためです。ルームメートとその友人の仕業と判りました。このようなケースはFBI捜査で進められ、連邦裁判所で審理されて厳しい判決が下されます。勿論、カードを使用された被害者は、非が無いのでその後問題なく普段の生活に戻りました。

今の時代、世界中でクレジットカードや銀行口座、インターネットによる詐欺など多発しています。その対策としてFBIや警察が、国内だけでなく国際組織が関わっていると想定して捜査をします。それに米国は、国内でも州によって生活環境が大きく違う国ですから、今もインターネットオンラインを使わないで小切手発行で支払いをする人も多いのです。

アメリカ社会では、クレジットカード使用で代金支払いをする今の状況から変わって、携帯電話を使った支払いに大半の人がなるまでには、まだまだ時間が掛かると思います。アジアやアフリカなどこれまで通信インフラの整っていなかった途上国の方が、新たな金融システムに急速に反応しているキャッシュレス決済の様相に驚いているのは、たぶん私だけではないと思います。

次回は、楽しい話題を探してご提供しますね! 2019年秋  野上陽子

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*FBI= アメリカ合衆国の連邦政府行政府における司法関係事務をつかさどる機関である。国民の利益を守り、公正で公平な権利を保障することを目的としている。閣僚の一人であるアメリカ合衆国司法長官によって統括されている。 日本語で「司法省」と訳されることから司法機関(裁判所)と誤解されがちだが、日本でいう法務省に相当する行政機関である。司法機関に対する指揮命令権・司法行政権などは、三権分立の原則があるため保有していない。 (ウィキペデアより)