音や動きの新しいタイプの商標に関心集まる-企業を印象付ける方法
今年月1日施行された改正商標法では、従来は文字、図形、記号、立体、それらの結合やそれらの組み合わせ色彩のみが認められていたに過ぎなかったところ、これに、「音」、「動き」等の新しいタイプの商標が加わりました。
10月末に、特許庁がその動向を公表しました。それによると、新しい商標出願では、色彩が423件と最多であったところ、ほぼ全件に対して拒絶理由を通知するとのことで、容易に登録が叶うものではない状況が明らかになりました。特許庁によれば、他の商品に使われているものとの識別がしづらい、あるいは、単純でありふれている、といった理由のようです。ニコンの一眼レフの持ち手部分にある赤のワンポイントを色商標で出願した例もありますが、単色で、他社製品と区別するには色を使う位置を特定する等の工夫が必要なようです。
色彩に続いて、出願が337件と多かった「音」では、久光製薬のTVココマーシャで見かけるル「hi sa mi tsu(ヒ・サ・ミ・ツ)」の音声。サプリメントや食餌療法用飲料やカレースープの素で「あじのもと」の音声。第一生命保険の「だい いち せい めい」。これらの音は楽譜上の旋律と歌詞によって商標を示している例が多いのですが、大正製薬の「ファイト― イッパーツ」の掛け声では、「ファイトーと聞こえた後に、イッパーツと聞こえる構成となっており、全体で約5秒の長さである」という商標です。また、伊藤園の「おーいお茶 という人の音声が聞こえる構成となっており、全体で約4秒の長さである」と表記されています。
また、動きでは、映画の上映前に流す放射状の光が東宝の社名の後ろで動く動画の登録が東宝の商標として認められました。
動画が多用される今、企業が消費者に楽しく強いメッセージを与えたり、海外進出を図るときなどにブランドイメージを明確にする、有効な商売の道具となりそうです。商標権の存続期限は登録から10年ですが、更新は何度でも可能です。半永久的に使い続けることのできる強力な権利ですから、消費者に訴える印象をこれだと思ったら、守ることも大事です。グローバルな展開を前提にブランドを印象付けることは大切な時代になってきたと思います。
こうした新しい商標が認められたことで、例えば、CMなどの音をあまり意識せずに使って会話に使ったり、ギャグを言ったりといった市民の行為にも、今まで以上に注意が必要です。
一方、企業の方では、商標が受け入れられているのか、その定着度や消費者の認知度をアンケートなどで継続的にリサーチすることが大切です。よく似たものが他人に利用されることも予想されます。先行き、不正競争防止法などに基づく侵害として、法定で争われることもないとはいえません。どうぞこの点もお忘れなく! <池田桂子>
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