下請法について(第3回)

 

建設業における下請け契約で気を付けるべきことは?

 

下請法について、第3回目は、資材の高騰や人手不足が懸念される業種の一つ、建設業にスポットを当ててみます。

 

1 建設業法と下請法

建設業法は、建設工事全般について規定した法律ですが、下請業者が元請業者と結ぶ下請け契約について、触れている箇所が少なくありませんので、注意が必要です。下請法では資本金で下請けに当たるか適用の有無を定めていますが、建設業法では、企業規模は考慮されません。

 

建設業法の下請け保護のために、丸投げの禁止があります(建設業法第20条)。丸投げをした事業者が工事を請負だけで利益を得るのは公正ではないからです。

 

2 「建設業法令順守ガイドライン」

建設業法上の下請け規制については、「建設業法令順守ガイドライン」(国土交通省総合政策局建設業課 発行)が参考となります。主要な点を見ていきます。

元請人は、下請け契約を締結する前に、見積条件として、以下の事項について具体的な内容を提示し、下請業者が適正な見積もりができるようにしなければなりません。

・工事内容

・工事着手時期や完成の時期

・請負代金の前金払いや出来高部分に対する支払いの定めをする時はその時期や方   法

・価格等の変動や変更に基づく請負代金の額や工事内容の変更

・工事完成の確認検査の時期や方法、引渡しの時期

・工事完成後における代金の支払いの時期や方法

・工事の目的物が種類・品質に関して契約内容に不適合な場合における担保責任やその責任の履行に関して講ずべき保証、保険契約の締結その他の措置

・遅延利息や違約金その他の損害金

・工事を施工しない日や時間帯の定めをする時はその内容

 

工事内容ついては、最低限、明記すべき事項がガイドラインで示されています。

 

3 2020年の改正

最近では、コンプライアンスの重視から、ガイドライン第7版―元請人と下請人の関係にかかる留意点―に網羅的な説明がなされていますので、こちらもご注意願います。

特に注目される改正点は下記の通りです。

(1)見積条件の提示(建設業法第20条の2)

①地盤沈下や地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象

②騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象

が発生する恐れがあることを知っている時には情報提供が必要とされました。情報提供を行わずに見積を行わせたり、契約を行った場合には、法違反となります。

(2)長時間労働の是正→工事をしない日等の定め(法第19条)

(3)著しく短い工期の禁止(法第19条)

(4)下請代金の現金支払い(法第24条の3)

(5)不利益取扱いの禁止(法第24条の5)

 

4 ホットラインの開設

国土交通省の地方整備局には、法令違反行為の疑義情報の受付窓口が設けられています。通報や相談をしたことによる不利益な取り扱いは特に禁止されています。

 

5 独占禁止法にも注意を

建設業者が不当に低い請負代金の禁止や、不当に低い資材の購入強制の禁止、下請代金の支払い、検査や引き渡しなどに違反している事実があり、それが建設業法19条に違反していると認めるときには、公正取引委員会に対して、措置請求を行うことができると定められていますので、独禁法に抵触することもあるということを頭の片隅に入れておくことが望まれます。

 

6 まとめ

気を付けるべきことはいろいろですが、おかしなことをしていないか点検をする姿勢で、次のようなことを再度点検してください。

一方的な指値発注がないかどうか、やり直し工事で無理を言っていないか、赤伝処理(元請負人が一方的に諸費用を代金支払い時に差し引く)をしていないか、支払留保をしていないか、帳簿の備え付けや保存はしているか(5年間の保存義務あり)、工事完了時の検査機関が20日を超えていないか。

 

適正な取引は、元請と下請の良好な契約関係の維持、発展に資するものです。

契約書のチェックなどご相談がありましたら、お尋ねください。

 

(池田桂子)