中小企業のM&A-「事業引継ぎ支援センター」って何?
年間で3万件の企業の廃業があり、このうち、約1割、3000社程度が、後継者難からの廃業とされています。中小企業の経営者の5割超が、60歳以上で、今後急速に高齢化が進み、企業の行く末をどうするのかという判断を迫られることになります。
廃業をするのではなく、事業を継続させていく方法としては、身内に継いでもらう、従業員に継いでもらう等の方法があります。といっても、適格者がいなかったり、他の親族との「争族」回避のための調整に難航したり、従業員への譲渡については、株の引受けの対価をどのように捻出してもらうのか、また、代表者就任に伴う重い連帯保証責任といった点が、ネックとなってきます。各社の抱えている問題については弁護士に相談して下さい。
1つの方策として、同業者や全くの第三者へ譲渡してしまうということも考えられます。引退を控えた経営者の中でも、こうしたM&Aを考えている方も多いといいますが、「身売り」をするようで外聞が悪い、M&Aを仲介する業者やコンサルタントがいまひとつ信用おけない、仲介の料金が高そうだ、というようなことから、第一歩が踏み出せない人も多いかと思います。こうした後継者不在の中小企業、小規模事業者の事業引継ぎなどを支援するために、国は「事業引継ぎ支援事業」を開始し、全国30箇所に支援センターを設置しています。
ここでは、事業承継についての相談に乗ってくれ、M&Aによる事業引継が可能と判断した場合には、センターに登録されている仲介業者等の紹介をしてくれます。支援センターに登録されている業者なので、安心感もあり、契約の内容も明確化され、手数料等も比較的安く設定されているようです。また、M&Aの交渉中にトラブルなどが発生した場合に、相談にも乗ってくれる等のフォローもしてくれます。
事業承継を考えている方は、一度こうしたチャンネルも選択肢の1つとして頭の中におかれてはいかがでしょうか。選択について判断を迷われるのであれば、弁護士が同席してご一緒に検討することも可能です。
当地では、愛知県事業引継ぎ支援センターがあります。
対象は、愛知、富山、石川県です。連絡先などは以下の通りです
名古屋市中区栄2-10-19 名古屋商工会議所ビル6F
TEL052-228-7117
電話での相談の予約もできます。
ホームページはhttp://ajhsc.jp/index.html です。(池田伸之)