共同親権の対外関係(特に幼稚園との関係)について
1 はじめに
今回は、第三者、例えば子どもが幼稚園に通っている場合の幼稚園の対応等を取り上げ、共同親権の対外関係について説明をしたいと思います。
これまで、幼稚園としては、子どもの両親が離婚した場合であっても、日頃幼稚園に来ている親が一緒に暮らしている(単独)親権者であり、法的な決定権を有しているという前提で対応すれば足りました。
しかし、これからは、日頃幼稚園に来ていない別居親も共同親権者であることがあります。その場合に起きる問題を検討してみたいと思います。
2 子どもの送迎、日常の連絡や幼稚園の行事への出席等の場合
これらの行為は共同親権となっても単独で親権行使することができる日常の行為に当たります。しかし、これまで幼稚園に来ていない別居親が共同親権になったと言って子どもを迎えに来た場合に、その別居親に子どもを引き渡してよいのでしょうか。
幼稚園としては、単独親権から共同親権に実際に変更になったかどうかがよくわかりません。仮に、別居親が、共同親権に変更になったとの公的書類を持ってきていたとしても、事前に何の連絡もなく、今まで送迎をしていた同居親と異なる別居親がお迎えのために幼稚園に来た場合には、場合によっては連れ去りのおそれがあることを考慮すると、まずは、同居親に連絡を取り、お迎えについての協議がどのようになっているかの確認をすることが望ましいでしょう。同居親に連絡を取ったが、同居親が別居親に子どもを引き渡すのに反対し、協議が整わなかったような場合には、幼稚園としては、子どもの安全確保(子の連れ去り防止)を図るという観点から、現在の主たる監護状態を維持し、これまでの送迎ルールのとおり、同居親に引き渡すとの対応を取らざるを得なくなることもあります。ただ、別居親からの反発を防ぐためにも、幼稚園としては、父母に対し、速やかに父母間で送迎に関するルールを協議し、合意されたルールを連絡してもらうよう申し入れることが重要でしょう。
3 子どもの転園や遠方への転居等の場合
転居に伴う幼稚園の転園や、遠方への移動など、子どもの生活基盤を大きく変える重要事項については、共同親権者が親権を共同行使すべき場合に該当します。したがって、こうした場合において、幼稚園が、別居親の同意がないことを知りながら、又は不注意によって知らずに手続を進めてしまったときは、後日、別居親から、契約の効力を争われたり、不法行為として損害賠償をも請求されたりするリスクがありますので、注意が必要です。
幼稚園が、共同親権であることを認識している場合において、別居親から同居親とは反対の意向が示されたときは、原則として、そのまま手続を進めるべきではありません。幼稚園としては、父母で協議し合意の上で申込みをしてもらうように説明をすることになります。どうしても父母の間で協議が整わない場合には、特定事項に関する親権行使者の指定の審判等によって、単独による親権行使ができる方法をとってもらうことを勧めることも考えられます。
4 親権の単独行使が認められる場合
3の場合においても、子ども利益のため急迫の事情があるときには、親権の単独行使が認められます。具体的には、DVや虐待からの避難が必要である場合のほか、同居親の急な国内転勤等に伴って子どもを転居させる場合などで、手続の期限が差し迫っているときにも、転勤が決まった後の父母間の協議状況や別居親が子どもの転居に同意しない理由等の個別の事情を踏まえて、親権の単独行使が認められる場合があります。ただ、どのような場合に単独での親権行使が認められるかは、個々の事情を総合判断することになると思われます。
共同親権者間において、監護者の指定や監護の分掌が定められている場合も、当該監護者はその監護の範囲内において単独で決定することができますが、どこまでの範囲が含まれるかは個別の定めによりますので、その旨の取り決め(審判書や協議書等)を申告・提示してもらうことが確実です。
上記の各場合を含め、第三者として対応に迷われる場合には、ぜひ当事務所にお気軽にご相談ください。
(揖斐潔)