刑事弁護②
前回は,逮捕勾留の概略でしたが,今回は刑事公判(裁判)段階です。
捜査段階が終わり,検察官が起訴をした場合,刑事裁判が始まることになります。
捜査段階から弁護人としてご依頼いただいていた場合,弁護人としては検察官が起訴しない処分(不起訴処分)をするように弁護活動をしますが,そのような活動にも関わらず起訴されてしまうということも当然ながらあります。
1 起訴の種類
起訴には種類があります。
まず,①略式命令で罰金の裁判を受けたときは、罰金を支払うことになります。
しかし,②正式裁判として起訴された場合、公開法廷で刑事裁判を受けることになります。
略式命令は,裁判所に必要な罰金を納めることにより,通常は直ぐに解放されます。これに対し,正式裁判は通常の刑事裁判を受けることになりますので,起訴されてから第1回公判(裁判)まで約1か月,その後必要な審理を経て,判決に至ることになり,数か月かかる手続です。
しかし,捜査段階で逮捕・勾留され,身体を拘束されていた方が,正式裁判となって起訴されたからといって当然に釈放されることはありません。通常は身体拘束がそのまま継続します。
2 起訴後の保釈
起訴後も身体拘束が継続した場合に,身体拘束を解く手続きを「保釈」と言います。裁判官に保釈を申し立てて,裁判官の許可を得られれば、保釈してもらうことができます。
ただし,保釈の許可を得るには様々な要件があります。
とりわけ保釈の許可を得るためには,保釈金(保釈保証金)を準備して裁判所に納める必要がありますが,この保釈保証金の準備ができることが保釈のための前提条件になります。
保釈保証金は、裁判官が案件に応じて金額を決めますので,個々の事件で金額が違います。そして,裁判官が決めた金額を原則として現金で納めなければなりません。
保釈保証金は100万円~300万円程度の水準とされることが比較的多いです。
なお,保釈保証金は、逃亡するなどの没取(没収)の事情がない限り,原則として刑事裁判が終了すれば全額返還されます。
3 刑事裁判
次に,公判(刑事裁判)ですが,刑事裁判は被告人が罪を犯したかどうかを判断し、罪を犯したと判断された場合は刑罰の内容を決める手続きです。
弁護人は,刑事裁判の手続きのなかで,検察官が請求した証拠に対して意見を述べたり,被告人質問を行ったりします。
そして,必要な証拠を調べたうえで、判決が言い渡されます。
地方裁判所、簡易裁判所の第一審判決に不満があれば、次に高等裁判所に不服を申し立てることができます。この不服申立てを控訴といいます。
また,高等裁判所の控訴審判決に不満があれば、次に最高裁判所に不服を申し立てることができます。この不服申立てを上告といいます。
控訴・上告には期間制限があり,判決言渡しの日の翌日から14日以内に申し立てる必要があります。この期間が経過すると判決が確定します。
従って,判決が実刑判決であれば刑務所に収監されることになります。
刑事弁護でお困りの方は,池田総合法律事務所までご相談ください。
〈小澤尚記〉