新在留資格「特定技能」について勉強会をしました

2019年のはじめころ,マスコミで新しい在留資格「特定技能」が創設され,外国人労働者が多く我が国に入っているのではないかと話題になっていました。

この「特定技能」や「技能実習生」について,令和元年9月25日,池田総合法律事務所の小澤も入っている異業種交流会内での勉強会で,メンバーの行政書士の柴田愛先生(愛知県東海市中の池1-9-9行政書士事務所オフィス柴田。現・愛知県行政書士会常務理事),山木千鶴先生(愛知県知多郡武豊町楠3-15-2 行政書士やまき法務事務所)に講師をお願いして勉強会をしました。

「特定技能」の在留資格の運用は,4月からスタートしています。

しかし,法務省の発表では,令和元年6月末時点で,全国で20名に「特定技能」の在留資格が認められただけで,愛知県内は6月末時点では認められた人はいないとの報告がありました。

特定技能の在留資格が認めるためには,会社が優良企業であり,外国籍の方本人の経歴(技能実習生としての経歴も)も優秀である必要があり,「特定技能」の要件を形式的に満たすだけでは,容易に在留資格を得られないのが現状とのことでした。

受け入れる企業は日本人並みに給与を支払い,外国籍の方の日常のサポートも十分にする必要があります。

在留資格の取得を希望する外国籍の方自身も,詳細な経歴の聴取書などを出入国在留管理庁に提出しなければならない場合もあるとのことでした。

他方,「技能実習生」制度は,日本の産業技術を身につけてもらう国際貢献であって,労働ではないという大前提があるとのことでした。そして,特定技能の在留資格を取得するためには,技能実習生の本来の趣旨にそって技能を身につけたという経歴が必要になると思われるが,実態が必ずしも伴っていないとのことです。

その結果,「特定技能」の在留資格取得のハードルがあがっていると思われるとのことでした。

在留資格が与えられるかどうかは,出入国在留管理庁の広範な裁量によります。「特定技能」の在留資格が導入される前に騒がれていたほど,出入国在留管理庁は「特定技能」の制度運用に積極的ではなく,慎重姿勢のようです。

また,中小企業はどこも人手不足ですが,企業のカテゴリー(上場企業等がカテゴリー1,源泉徴収税額1500万円以上がカテゴリー2,源泉徴収税額1円~1500万円未満がカテゴリー3,それ以外がカテゴリー4と分類されています)が低く,日本人並みの給与も払えず,日常サポートも難しい(登録支援機関に金銭を支払ってサポートを受けることもできますが,相当の金銭負担が必要とのこと)ということであれば,本当に人手が必要な法人には労働力が回らないというのが実情のようです。

池田総合法律事務所では他士業とも連携して,法人の業務運営のサポートをすることもできますので,採用・労務などでお困りのことがありましたら,池田総合法律事務所にご相談ください。

〈小澤尚記(こざわなおき)〉