有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示

前回の「株主総会シーズン、株主の注目を集めるこれからの経営視線」で紹介した,有価証券報告書等における企業のサステナビリティ情報の開示を今回は取り上げます。

有価証券報告書に,サステナビリティ情報の記載欄を新設することが求められています。

サステナビリティ情報の記載欄に記載することが求められているのは,サステナビリティに関する考え方及び取組です。この考え方及び取組は,企業の中長期的な持続可能性に関する事項について,経営方針・経営戦略等との整合性を意識して説明するものとされています(後記の別添『サステナビリティ情報の開示について』より)。

具体的には,「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の開示が求められています。

このうち,「ガバナンス」「リスク管理」はすべての企業に開示が求められています。

他方,「戦略」「指標及び目標」については,各企業が重要性を踏まえて開示を判断する必要があります。

また,人的資本について「人材育成方針」や「社内環境整備方針」,方針に関する指標の内容や指標による目標・実績を開示することも求められています。

金融庁の作成した『記述情報の開示に関する原則』の別添『サステナビリティ情報の開示について』では,サステナビリティ情報には,国際的な議論を踏まえると,例えば,環境,社会,従業員,人権の尊重,腐敗防止,贈収賄防止,ガバナンス,サイバーセキュリティ,データセキュリティなどに関する事項が含まれうると考えられる,とされているところです。

 

そして,サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が,サステナビリティ開示基準(SSBJ基準)を策定しており,このSSBJ基準が一般に公正妥当と認められるサステナビリティ情報の作成および開示に関する基準に従って,有価証券報告書等のサステナビリティ関連記載事項を記載することを義務化した,内閣府令における『基準』として告示において指定されています。

 

このサステナビリティ情報の開示ですが,スコープ3温室効果ガス排出量(企業の上流と下流から排出される温室効果ガスの排出量。スコープ1,スコープ2以外の間接排出)は,サステナビリティ情報のうちの『環境』として理解しやすいところですが,ほかの事項については具体的にどのような情報を開示すべきかは難しい判断が求められます。

このうち,人権の尊重は,弁護士は基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命としており(弁護士法1条1項),ビジネスにおいて基本的な人権が尊重されているのか,ビジネス活動において人権尊重の点から問題があるいは否かを企業とともに考えていくことに最適の存在と考えられます。

また,腐敗防止などのガバナンスについても,内部統制システムの整備という点に帰結するかもしれませんが,整備された内部統制システムがあったとしても,それが実効ある制度となるようにシステムを見直し,システムが抽出した問題事案の事実認定,解決策の提案も弁護士業務の中核になるものですので,企業活動において弁護士が適切な役割を果たすことができます。

 

池田総合法律事務所では,企業活動のサステナビリティを提供するための助言等の業務も取り扱っていますので,池田総合法律事務所に一度ご相談ください。

〈小澤尚記(こざわなおき)〉