電子債権取引広がる可能性

ひところ昔に比べて、手形を見かけなくなりました。全国銀行協会の公表するところによれば、平成2年のピーク時に比べ、平成24年には、手形取引額は4797兆円から369兆円の7.6%に減少、枚数比では、4億3486億枚から7745万枚の18%に減少しているそうです。

平成20年(2008年)12月に電子債権取引法が成立し、電子記録を要件とする金銭債権による取引が認められたことから、次第に広がり、メガバンク独自の取引システムのほか、全国銀行協会の100%子会社により全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が昨年スタートし、これに参加する企業が増えているという背景があります。中部3県でも3万6千社が利用し、半年前に比べて5割も増えているそうです。

支払企業は、納入企業に対して電子記録債権を発行する場合、インターネットや銀行等の金融機関の窓口で申し込みを行い、金融機関(事務代行会社)において、電子債権発生のためのデータ送信を行い、でんさいネットのような記録機関に記録が送られると、電子債権の発生が確定します。記録機関では、予め指定された通りの支払期日や金額等登録された通りに、指定口座から納入先の口座に送金を行います。

支払う方は、手形と異なりペーパーレス化で持ち運びや紛失リスクがなくなり、また、大きな利点として印紙税の支払いが不要となること(例えば、手形の場合、額面額500万円の場合は印紙1000円、1000万円の場合は印紙2000円が必要)など点があげられます。複数の会社への支払いを一括して行うことができます。

受取る方の企業でも、手形同様、期日前の資金化(割引)ができること、分割して、次の取引先(第2次納入先)に支払うことも容易です。

また、取引の安全の確保のため、手形不渡りと同様に、6ヶ月以内に2回の支払いが行われなかった場合、銀行取引停止処分があります。

こうした電子取引の進展は、電子債権を支払期限までに現金化したい企業を紹介するなどの新しいビジネスも創出しています。手形割引のような買い戻し義務がないノンリコース型での買取のため、企業は回収不能リスクを軽減できるといわれます。

多くの企業が一気に電子債権取引に移行することも予想され、取引の実情が変わっている可能性が少なくありません。電子決済の時代は着実に近づいているようです。<池田桂子>